ここからはじめよう_ 11 回目 「SRL1.4 使ってみよう(Part1)」

今回は、HPの負荷テストSaaS である HP StormRunner Load (以後SRL)1.4 (前回から今回の記事投稿までにバージョンが1.4にあがりました) を使って実際に負荷テストを実施する方法をご紹介します。

前提としては、すでに

● SRLの評価版環境が使えること

● 負荷テスト用スクリプトが準備されていること

ですので、まだの方は8回目から順に準備をしてください。

最初にまず8回目でSRLを起動した手順を思い出してもらいHP SaaSにログインし、SRLを起動しましょう。

すると、次のようにSRLを利用するための「操作ガイド」画面が表示されるはずですので右下の「わかりました、ありがとう」をクリックして閉じておきましょう。SRL_1_01.png

はい、メイン画面が表示されましたね!次の画面のようになっていればOKです。私の場合は、「最近の作業テスト」などすでに作成したテスト設定がありますが、みなさんの場合は、ここは何もないはずです。

ここで、左上の青ボタン「テストの作成」をクリックしてみましょう(赤枠箇所)。

SRL_1_02.png

これから実施するテストに名前をつけましょう。最初に表示される画面で「テスト名」にみなさんが分かりやすいテスト名をつけてみましょう(赤枠箇所)。私は「TruClientScriptTest_Demo01」としました。その下の説明は任意ですが、テスト名に補足する内容があれば書いておきましょう。後からみてなんだ?となった時に参照できるように。

SRL_1_03.png

次に、画面の左ペインにあるドキュメントの形をしたアイコンをクリックしてみましょう(赤枠箇所)。

補足するとこの左ペインのアイコンがそれぞれステップになっていて、上から順に作業していくとテストが実施できるようになっています。先に設定したテスト名の設定は一番上のアイコンですので、もう一度、テスト名を修正したい場合は戻って修正できます。

SRL_1_04.png

左ペインのドキュメントアイコンをクリックすると下図のような、画面が表示されましたね?この画面からテストで利用するスクリプト (人の代わりに対象システムへの操作処理をしてくれます) を追加します。前回、TruClientを使って記録&編集したスクリプトがありましたね?そう、「TruClientSampleScript-01」と名前をつけて保存したスクリプトです。そのスクリプトを追加してみましょう。左上にある「アセットから追加」をクリックしてみてください (赤枠箇所)。SRL_1_05.png

スクリプトを選択する画面が表示されますので、そこから、該当スクリプト「TruClientSampleScript-01」の左にあるチェックボックスにチェックを入れてみましょう。スクリプトのアセット(資産)が増えてくるとリストから発見するのが面倒な場合もありますので、その場合は上にある虫眼鏡マークのフィールドに検索文字を入力してEnterすると検索文字を含むスクリプトだけが表示されますのでアセットが増えてきた場合でもすぐに見つける事ができます。

追加したいスクリプトのチェックボックスにチェックをしたら、右下にある「追加」をクリック(赤枠箇所)してこの画面を閉じます。

SRL_1_06.png

追加されると下図のようにスクリプトがテストに追加されているのがわかると思います。今回はこれ以上のスクリプトは追加しませんが、SRLでは同じテストで複数のスクリプトを追加して実施する事ができます。例えば、100%業務量のうち80%は参照系で20%は更新系のスクリプトを実施するといったより業務に近い状況の負荷をシュミレーションする事が可能です。

次に負荷テストの設計(どのような目的(テスト戦略)でどう実施するかといったテスト分析とテスト設計はすでに終えていると仮定しています)に基づいて設定をしていきます。SRLでまずスクリプト単位で設定する箇所は下図のスクリプトの右にある次の7項目(正確にはプレビューは設定できないので6項目)になります (赤枠箇所)。

  • 仮想ユーザ
  • 開始時刻
  • ランプアップ
  • 継続時間
  • ランプダウン
  • プレビュー (ここは設定しませんが、仮想ユーザ、開始時刻、ランプアップ、継続時間、ランプダウンの設定変更によってグラフが変化して表示されます)
  • ペーシング

テスト実施した結果はSRL画面からも確認できますが、PDF形式でレポートをメールでもらう事もできますので今回はメール受信も設定してみましょう。右上にある「電子メールレポート」にチェックすればOKです(赤枠箇所)。

SRL_1_07.png

具体的に設定してみましょう。まず「仮想ユーザ」から、仮想ユーザはここからはじめようシリーズのHP LoadRunnerでも説明しましたが、負荷テストツールでは一般にツールが人の代わりをするスクリプトを利用して負荷を生成しますのでそこでシュミレーションされるユーザを仮想ユーザ(Virtual User とか、略して VU とか言ったりします)と言うんです。

で、ここで設定する仮想ユーザとは、このテストで想定している最大アクセスユーザ数を指します。

評価ライセンスでは、最大が30までですので、ここでは、30を設定してみましょう。

次に開始時間を設定していきます。ここでは、SRL SaaS上に負荷生成システムのインスタンスが起動し準備OKになってから、どのくらい後に開始するかを設定します。スクリプトが今回のように1つしかないのであれば、わざわざ0秒以上にする意味はあまりないかもしれませんが、例えば、複数のスクリプトを同じテストで実施する場合、スクリプトAを開始して負荷状態にしたまま別のスクリプトBが10分後に開始されるという場合、スクリプトAの開始はデフォルトの0のままで、スクリプトBは開始時刻を10分に設定しておきます。

今回は、スクリプトは1つしかないので特に開始をずらす必要もないですので、デフォルトの0のままにしておきましょう。

ランプアップは、負荷の上げ方を意味します。ここでは、1分かけて30仮想ユーザをあげていく(つまり1仮想ユーザを2秒単位で追加していくペース)設定として1分を設定してみましょう。

継続時間はランプアップで最大仮想ユーザに達した状態でどのくらい負荷状態を継続するかを設定します。今回は10分にしてみましょう。

ランプダウンは、ランプアップの逆で、負荷の下げ方です。まぁ、負荷をかけて一気にどーーんとユーザの業務がなくなるという事はないので、じょじょに終了していくというのを設定するためにこのランプダウンを設定します。

今回は、1秒に1ユーザが抜けていくという意味で30秒に設定してみましょう。

最後はペーシング(Pacing)です、ここはまた別の機会に詳しく書きたいと思いますが、サーバー側からの応答があってからどのくらい待ってから次のリクエストを送信するかと言うことです。思考遅延(Think Time)と同じ意味で使う場合も多いのですが、HPツールでは厳密にはThink Time の時間内に Pacing の時間が含んでいて区別をしています。

ここでは、「人間が次の画面に進むまでに思考している時間=思考時間」と同じものだとして、3.5秒にしてみましょう。秒単位なので msec の数値は小数点以下で表してください。

以上を設定するとこんな感じになってるはずです(↓)。

SRL_1_08.png

スクリプト単位で編集すると、全体としてはどうなったかを確認することができます。SRL画面の上部分に全体での設定情報を表示していますので(赤枠箇所)、ここを見れば複数のスクリプトが混在している場合でも全体の負荷設定を把握する事ができますので便利です。まぁ今回は1スクリプトだけなのでそんなに恩恵は感じませんが・・

SRL_1_09.png

この負荷テストの設定は実際にはしっかりと設計してそれぞれの項目の値を設定していく事になります。この辺はみなさんの周りにいる先輩SEに詳しく聞いてみるといいでしょう。

SRLについてもっと直接聞いてみたいとか、購入したいけどHP SaaSのサイトは英語で購入方法がよくわからないというお問い合わせはこちらまでお願いします!

今回はここまでとして次回からは、作成した負荷テストの設定を使って負荷を生成する手順を実際にやっていきます。

お疲れ様でした。また!

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