モバイル端末の活用が日本でも話題になり、HPでもモバイル対応の流れの中でリリースするのが、HP MobileCenterです。実は、HPの提供するモバイルテストソリューションとしては、UFTMobileというものが以前はあったので、それとの違いも含めて、HP MobileCenterの位置づけを、リストアップしてみましょう。
■MobileCenterは単なるモバイルテストツールではない。
HPの開発支援ツール群には、「~"Center"」という名前の製品があります。これらは、ある特定のテスト単機能を提供するにとどまらず、情報の管理も併せて提供するリポジトリとしての側面も持ちます。たとえば、
- QualityCenterは、要件からテスト資産、テストの実行制御、障害管理等の機能を提供するリポジトリを提供します。
- PerformanceCenterは、LoadRunnerと同等の負荷テストツールに、上記のテスト資産の管理や実行制御等の管理機能も併せて提供するリポジトリ製品です。
MobileCenterもこの例に漏れず、リポジトリ製品としての性格を持ちます。図1は機能の概要を簡単に挙げたものです。
次の6つが主要な機能です。
- ライフサイクル管理
HP ALM/QualityCenterと連携して、テストの管理機能を提供します(別途HP ALM/QCのライセンス必要)
- マニュアルテストサポート
HP Sprinterと連携したマニュアルテストをサポートします。テストで自動化というとGUIの操作を記録しスクリプト化して自動実行するというイメージが強いと思いますが、あらゆるテストケースを自動化できるわけではありません。結構な割合で手動によるテスト(マニュアルテスト)が行われますが、この場合、実施手順の記録や証拠としての画面ショットの採取、レポートの作成等、煩雑な作業が少なくありません。HP Sprinterは、このマニュアルテストの実行支援、記録収集を効率化するツールです。
HP MobileCenterとSprinterを連携させると、モバイル端末の実機を操作して行うマニュアルテストの記録収集が効率化されます。
- 自動テストサポート
HP MobileCenterは、機能テスト自動化のHP UnifiedFunctionalTesting(UFT)とも連携します。以前提供していた UFTMobileでは、テストスクリプトの記録作業はUFT,実際の実機デバイスに対するテストの実施は専用H/Wが必要でした。HP MobileCenterでは、テスト用のモバイルデバイスをUSBで接続してテストで利用します。その意味では設定も格段に簡単になりました。
- 性能テストサポート
Sprinter,UFTときたらLoadRunner(LR)と連携しないいわれはありません。負荷テストではLRと連携します。
モバイルアプリケーションの性能検証を考えた場合、ネットワークの回線特性(3G/LTE,パケットロス率、レイテンシー等)を無視して負荷テストを行うことはできません。HPではこの特性をシミュレートするために、ネットワーク仮想化製品HP NetworkVirtualizationを提供していますが、HP MobileCenterではNetworkVirtualizationの利用権もついてきます。
- サービス監視
テストだけにとどまらず、サービスインしたあともサービスがきちんと稼動しているかを管理しておくことが重要です。HPの監視製品であるHP BSM製品群と情報連携することで、サービスの監視と問題発生時のトラブルシューティングに必要な情報を提供します。
- ラボ管理
前述したように、テストで使うデバイスをUSB接続で管理できます。接続されたデバイスの管理に加えて実施するテストシナリオやテスト実施時に監視する情報(CPU、メモリ利用状況等)の設定等の管理を行うのが、テストラボ管理機能です。
■モバイルデバイス"だけ"がテストできればいいってわけじゃない。
前述したように、MobileCenterでは、機能性や性能のテストについては、すでに弊社が提供しているUFTやLRを利用することを想定しています(図2)。
これには2つの大きな理由があります。
- ひとつは、学習時間&コストを押えて、如何に早くモバイルでのテストも実行できるようにするか、です。
ツールの学習時間とコストはバカになりません。それでなくとも短期リリースの要求に応えて必死なのに。 - ふたつめは、モバイルアプリケーションとはいいながら、実際にはバックエンドの社内システム等も含めた、トータルな複合システムとしての品質検証が重要だからです。バックエンドも含めたWebアプリケーションの世界では、UFTやLRは高いご評価をいただいてきましたし、それを裏付ける多くの実績がお客様によって蓄積されています。MobileCenterを使うことで、これまでのテストで蓄積されてきたツールやノウハウを、モバイルデバイス上でのテストでも有効に利用することができます。
いかがです?いわゆる「モバイルテストツール」でイメージするものとは少々異なるのではないでしょうか?
価格等々は正式に発売が開始されたらまたご紹介できればと思います。■紹介動画を見てみよう
すでにYoutube上では紹介動画(英語ですが^^;)が出ています。
技術的な詳細ではなく、いかにも"宣伝"って感じの動画ですが、ちょこちょことスクリーンショットを見ることができますので、お時間のあるときにぜひご覧ください。