マッキンゼーのグローバルインダストリーデジタル化指数によると、欧米では、それぞれ17%と18%の小さなデジタル化ポテンシャルが示されました。
つまり、多くの大企業のリーダーにとって、老朽化したデータウェアハウスを近代化してデータドリブン経営へと変貌するための時間がまだ残されているということです。しかし一方で、21世紀に生まれたデータを求めて止まない破壊者達が、クラウド上で最適化され機械学習による大容量データに対応した分析プラットフォームを元に意思決定をしているという格差による絶滅の危機に、彼らは直面しているのです。
破壊的なデータ活用による大手新興企業の誕生
ここ10年から20年の間、アドテクやフィンテック、オンラインゲーム、eコマース、ソーシャルメディア、IoTをはじめとした完全に新しい業界と市場セグメントがかたち作られてきました。これは始まりに過ぎません。このような業界におけるそれぞれのマーケットリーダーの成功は、膨大な量のデータから実用的な洞察を得る迅速な能力という、競合他社の差別化に不可欠である重要な特性を共有しています。
オンラインゲームのリーディング企業Zyngaはパーソナライズされたゲーム体験を提供しつつ、ユーザーデータを収集し分析しています。同時に、それらのデータから獲得されたインサイトは、ユーザー離脱を減らし、資金力のある広告主を引き付けます。アナリティクスはZyngaの中核であり、同社の前アナリティクス担当VPケン・ルディン氏は、オンラインゲームのパイオニアを「ゲーム会社のふりをしている分析会社」と称しているほどです。
10年以上前に設立されたUberは、既にスクリーンのタッチで50億回以上の旅行を実施しており、現在は食品配送サービスも提供しています。競争力のある料金を継続して提供するために、同社は数ペタバイトのデータを精査し、地理空間分析を使用して世界中の需要と供給をマッピングする数多くのデータアナリストとデータサイエンティストを雇用しています。
やっつけられなかったら取り込んでしまえ
モンサントは1940年代に農業に参入し、殺虫剤を導入し、最終的に農家に種子と肥料を提供して、今はバイエルの一部です。農業大手は、将来の成長のためにスマート農業(またはアグリテック)の重要性を理解していました。
モンサントは、農薬を購入した農家にデータとサービスを販売する大きなビジネスチャンスを見出しました。そのため、2013年にモンサントは、データ分析機能を最適化する目的で、約10億ドルでClimate Corporationを買収。当初、農家の天気保険引受会社であったClimate Corporationは、最新のデータ環境に順応し、土壌、気象データなどのセンサーからのフィールドデータを収集、保存、視覚化するClimate FieldViewデータ分析プラットフォームを構築しました。 MonsantoのClimate Corporationとその分析プラットフォームへの投資は、農家のデータ駆動力を高め、最終的に農場1エーカーあたりの収穫高と収益性を最大化することを支援しました。
M&Aは、既存業界の伝統的な企業がデータを駆使して未来を予測し、それを活用する唯一の希望でしょうか?もちろん違います。データを組織に統合するための実用的なアプローチを備えた、確立された分析ユースケースに焦点を絞り、専念した業界のリーダーの例がたくさんあります。焦点を絞ることが重要なのです。
ビジネスに影響を与える分析ユースケースに焦点を当てる
最近Aramarkに買収されたAmeriprideは、100年以上の歴史を誇り、ユニフォーム、リネン、ファシリティサービスのリーダーとして認められています。一般的なデータ視覚化ツールと統合された高性能分析プラットフォームを採用した後、同社はデータ分析に対する実用的なアプローチを追求し、ビジネスのボトムラインの利益を向上させる共通質問に答えるよう試みました。たとえば、顧客はなぜサービスから離脱するのか?彼らはどのような経緯で顧客になったのか?商品カテゴリはどのようなトレンドか?などです。
Ameriprideのチームは、販売ルート最適化のために車両テレメトリデータを分析するなど、さまざまなユースケースを選択しながら、データ分析プラットフォームを直販部隊に展開することから始めて、直接的なビジネスへの影響に集中しました。その結果、同社は顧客との契約更新時に発生する、事実に基づかない不適切なプライシングをすばやく特定しました。このインサイトによって、Ameriprideは調整を実施し、契約更新を約20%改善しました。Ameriprideは、データ活用によるインサイトを同社のビジネスと統合することに成功してから、分析プログラムやそのエクセキューションに関する複数の賞を受賞しています。
これから何が起こるのか
21世紀の破壊的なデータユニコーン(データ活用で頭角を現す大手新興企業)とビジネス利益を最適化しようとする伝統的な企業の両方にとって、データが多くの新しい扉を開くのは決してミステリーではありません。センサーデータが産む価値のために、IOT(Internet of Things)とIOT(Industrial Internet of Things)が、まったく新しい市場を確立したり、より有益な差別化を可能にすることを求める組織に大いに期待されています。既存のマーケットリーダーが、専用の、クラウドに最適化されたデータ分析プラットフォームを採用して、機械学習機能を備え、最新のデータ環境に順応できるのか、またはより俊敏なデータ駆動型の新興企業によって意味のない存在にされてしまうかどうかは、時間だけが教えてくれるでしょう。
※本記事は、ブログ記事「Riding the Waves of Data Modernization」を翻訳・意訳したものです。
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