Vertica 9.2.1がリリースされました。
本リリースでは、Amazon S3を用いたEon Modeが大幅に改善されています。それに加え、Enterprise Modeにおいても多くの改善点が含まれています。
新機能および変更点は以下の通りです。
パフォーマンスの改善
Storage Containerのローカルディスクへのキャッシュ
Storage ContainerがAWS S3などのリモートストレージに配置されている場合、そのデータをローカルディスクにキャッシュさせることができるようになります。これは、処理によってはExecution Engineが同じStorage Containerを参照しなければならないケースにおいて、パフォーマンスの向上およびリモートストレージのコストの削減につながります。
バックアップ・リストア
Eon Modeにおけるオブジェクト単位でのリストア
Eon Modeにおいて、フルバックアップから特定のオブジェクト(スキーマやテーブルなど)をリストアできるようになります。(Enterprise Modeでは、フルバックアップおよびオブジェクトバックアップのどちらからでもオブジェクトをリストアできます。)
Eon Mode
Bundle Metadata Storageのサポート
Verticaは内部的に物理データをメタデータとコンテンツをセットで保持しています。Query Optimizerはクエリが必要とするデータをメタデータを用いて探し、取得します。9.2.1から、このメタデータをカタログ情報に保持できるようになります。この機能はEon Modeに有益で、S3などのリモートストレージからこのメタデータを取得する代わりに、ローカルのカタログ情報から取得できます。これにより、リモートストレージからの読み込みを最小限にすることができ、クエリの実行が大幅に速くなります。
S3ストレージでの一時データ保持
Eon Modeの環境ではローカルのディスク容量が小さく抑えられていることがあり、一時データを大量に生成するDML文を実行するのに十分でないことがあります。これに対応するため、S3ストレージ上に一時データを保持するStorage Locationを作成できるようになります。
UseDepotForWritesパラメータの設定レベル
UseDepotForWritesパラメータをデータベースおよびセッションのレベルで設定できるようになります。
Depotサイズのデフォルト値
新しいEon Modeのデータベースを作成する際のDepotサイズのデフォルト値が、Depotを格納するファイルシステムの60%となります。以前のリリースでは80%でした。既存のEon Modeのデータベースにはこの変更による影響はありません。
システムテーブルの変更
Eon Modeで使われる次のシステムテーブルが変更になります。
- V_MONITOR.DATA_READSが追加になり、クエリにより読み込まれるデータソースの情報が記録されます。
- V_MONITOR.DEPOT_EVICTIONSに3つのカラムが追加され、いつ・なぜファイルがDepotから削除されたのかがより詳細に記録されます。
- START_TIME
- END_TIME
- REASON
- V_MONITOR.DEPOT_FILESに2つのカラムが追加されます。
- ARRIVAL_TIME
- SOURCE
SQLファンクション・ステートメント
COPYステートメントのEXPLAIN出力内容の変更
以前のリリースでは、EXPLAIN COPYはQuery PlanをGraphviz DOT notationにのみ出力していました。COPYステートメントはANNOTATED以外のEXPLAINの出力オプションをサポートします。
- LOCAL
- VERBOSE
- JSON
EXPLAINはテキストのQuery PlanをGraphviz DOT notationと一緒に出力します。
デフォルトのTLS設定の接続ごとの変更
COONECTステートメントに新しいTLSMODEパラメータが追加されます。ImportExportTLSModeパラメータで指定された設定を接続ごとに変更することができます。
Spreadオプションの変更
Spreadデーモンのタイムアウト時間をSET_SPREAD_OPTIONファンクションを用いて変更することができます。Microsoft Auze上でVerticaを動作させる場合、このオプションを変更するケースがあります。
統計情報
パーティションベースの統計収集
統計情報の収集をパーティションごとに行えるようになります。3つの新しいファンクションが追加されます。
- ANALYZE_STATISTICS_PARTITION:指定されたテーブルのパーティションの範囲で統計情報の収集を行います。
- EXPORT_STATISTICS_PARTITION: ANALYZE_STATISTICS_PARTITIONで収集した統計情報をパーティションごとにXMLフォーマットで出力します。
- DROP_STATISTICS_PARTITION:ANALYZE_STATISTICS_PARTITIONで収集した統計情報を削除します。
Apache Hadoop Integration
HadoopConfDirのセッションレベルでの設定
HadoopConfDirパラメータは、HDFSの設定ファイルを探すディレクトリパスを指定するパラメータです。それぞれのファイルのセットはHadoopクラスタの設定です。Verticaはこれらのファイルの情報をHDFSを扱うために使用します。通常、このパラメータはデータベースが接続する1つまたは複数のHadoopクラスタを指定する際に使用されます。
例えば、テスト環境への接続の切り替えなど、動作中にこのパスを変更する必要がでてくる場合があります。この変更をデータベース全体に行うとHadoopクラスタに接続しているすべてのコネクションに影響が出てしまい、実行中のクエリやExternal Tableの定義が正しく動かなくなってしまいます。この問題を避けるために、このパラメータをセッションレベルで設定できるようになります。
Vertica on the Cloud
新しくサポートするAWSインスタンスタイプ
Vertica 9.2.1では以下のAmazon Web Service (AWS) インスタンスタイプをサポートします。
- m5.4xlarge
- m5.12xlarge
- m5d.4xlarge
- m5d.12xlarge
- c5.4xlarge
- c5.9large
- c5d.4xlarge
- c5d.9xlarge
- r4.12xlarge
- r5.4xlarge
- r5d.4xlarge
- r5d.12xlarge
Flex Table
FlexTableRawSizeのセッションレベルでの設定
Vertica 9.2.1ではFlexTableRawSizeパラメータをデータベースレベルおよびセッションレベルで設定できます。以前のリリースでは、FlexTableRawSizeパラメータはデータベースレベルでのみ設定ができました。
セキュリティ
Improved TLS Support for Import/Export
COPY FROM VERTICAおよびEXPORT TO VERTICAでデータ送信中のメタデータの暗号化を要求することができるようになります。以前は、CONNECTでの接続する際、VerticaはTLSを用いて接続を試み、できなければプレーンテキストにフォールバックしていました。これは現バージョンでもデフォルトの動きです。しかし、ImportExportTLSModeパラメータの設定により、暗号化を要求したり、証明書の検証を要求することができます。
是非、Verticaの最新バージョンをお試しください。
Announcing Vertica Version 9.2.1 - Take Analytics Efficiency to the Next Level