ここからはじめよう_ 16 回目 「LRv12 使ってみよう(SiteScope連携編 その3)」

前回から引き続き、HPの負荷テストツール HPLoadRunner(HP LR) のテスト対象システム (AUT: Application Under Test) のリソース情報モニタリングとして HP SiteScope (HP SiS) から収集する方法を紹介していきます。

前々回で説明したように、HP LR だけでもWindows リソースは収集することができますが、Unix 系、ネットワーク機器、ミドルウェア、データベースの情報を収集する事はできません。そこで、HP SiS を利用することで HP LR だけでは収集できないリソース情報を収集します。

そこで、今回紹介する具体的な構成を紹介してみます(↓下図)。右側のテスト対象システム(AUT) として Redhat Enterprise Linux 6.5 (以後 RHEL) を使います。収集するために、特に収集エージェントをテスト対象システムにインストールする必要はありません。Linux でCPU リソースを収集するためのコマンドとして mpstat を実行し値を取得するのであれば Telnet や SSH でアクセスできればいいだけです。ここでは、SSH アクセスを利用して、

mpstat -P All

を実行して表示される情報から、必要な情報を取得します。

SiS036.png

では、表示されている情報をみてみましょう。ここで実際に SSH でテスト対象システムに接続して、実際に CPU リソース情報を取得しています(↓下図)。もっと具体的に今回収集する値を特定してみましょう。赤枠で囲った %usr (ユーザー使用率)の中のall (全コア数のトータル) を取得していきます。この例では1コアなので、all も 0 も同じですが、複数コアであれば、それぞれコアを取得する事もできます。その辺は、HP SiS の機能というよりも、Awk や Sed の使い方になります。

SiS036_1.png

例えば、こんな感じで希望の値が取得できるでしょう。Awk や Sed の使い方は皆さんも詳しいかと思いますのでここでは解説しません。ここで大切なのは、どんなコマンドを実行すれば期待の値が取得できるか確認すると言う事です。

SiS036_4.png

コマンドが分かれば、次に、HP SiS サーバーでメモ帳を開いてみましょう。ここでは、ファイル名として、

mpstatsample.txt

としていますが、これは皆さんの環境や実行するコマンドに合わせて変更してください。変更した場合は、以後の説明はファイル名については読み替えてください。

メモ帳で、コマンドを記述しておきましょう。こんな感じでしょうか(↓下図)。

SiS036_3.png

この mpstatsample.txt を HP SiS サーバーのインストールフォルダ内にある、scripts.remote 内に保存しましょう。インストールフォルダは前回のインストール手順で実施された方は、C:\ の直下にあるはずです。保存が完了したら、下記の図のようになっているはずです(赤枠参照)。大丈夫ですね?

SiS036_2.png

次に、HP SiS クライアントから HP SiS 画面にアクセスしてみましょう。分からない方は前回の最後でクライアントからのアクセスを説明していますので参照してください。はい、こんな感じで画面が表示されていればOKです(↓下図)。そうしたら、「リモートサーバ」にアクセスしてみましょう(赤枠部分)。

SiS036_5.png

リモートサーバの画面が表示されたら、今度は、左の「UNIX リモートサーバ」をクリックしましょう(左赤枠部分)。すると右の画面が「UNIX リモートサーバのリモート」に切り替わります。まだ、何も対象となる UNIX サーバが設定されていませんので、空のままですね。そこで、「新規UNIX リモートサーバ」をクリックしてみましょう(中央赤枠部分)。

SiS039.png

「新規Unix リモートサーバ」画面がポップアップ表示されますので、ここで対象となるサーバーにアクセスするための情報を設定入力していきます。サーバー名は「HPMC1.1」という名前をつけています。今回は RHEL に対して SSH でアクセスしますので、「オペレーティングシステム」や「接続方式」は下図のようになっています。また、ログイン後に表示されるプロンプトの文字が「$」ですので、それも設定しています。そのほか、文字コードを設定しています。設定が全て終わったら、画面の下にある「保存およびテスト」をクリックしてみましょう(↓赤枠部分)。SiS041.png

するとテスト接続が実行されます(↓)。正常に接続という文字が表示されればOKです。もし失敗した場合は、上の接続設定にミスがないか確認してください(場合によっては、そもそも、HP SiS サーバーからテスト対象システムに SSH でアクセスできるのか確認してみてください)。問題なければ「OK」をクリックしてテスト画面を閉じましょう。

SiS042.png

はい、ここまでの設定が反映されてこんな感じになっていればOKです(↓)。今回は私の環境はLinux マシン1台ですが、複数あれば、追加で同様の作業をしてください。

SiS043.png

次は、ここまで設定したLinux サーバーに対してリソース情報収集のためのモニタリング設定をしていきます。左のメニューから「モニタ」をクリックしましょう(赤枠部分)。

SiS044.png

「モニタ」画面が表示されていますね?では、この左にある「新規グループ」をクリックしてみましょう(赤枠部分)。これはリソース収集するシステムやメトリックが増えてきた場合に、グルーピング化しておくと管理が楽ですので、皆さんの環境にあわせて理解しやすいようにグループを作ってみてください。

SiS045.png

ここでは、HPMC 1.1 はモバイルテスト自動化システムのサーバーですので、名前を

MobileAutomationTestSystem

としてみました(↓下図参照)。グループ名を入力したら、「OK」をクリックして閉じましょう。

SiS046.png

すると、左のグループ表示部分に作成した「 MobileAutomationTestSystem 」が表示されていますので、それを右クリックして「新規作成」-「モニタ」をクリックしてください(赤枠部分)。

SiS047.png

「新規モニタ」画面が表示されましたね?HP SiS では、前々回紹介したように幅広くリソースを収集できますが、今回は、RHEL に SSH で接続してリソースをコマンドを実行して取得する事にするので、リストから「スクリプト(赤枠部分)」をクリックしてみましょう。

SiS048.png

「新規スクリプトモニタ」画面がポップアップ表示されますね?では、ここで、次のように設定してみましょう(↓)。

名前は、今回のRHELはコアが1つしかないので、このような名前をつけてますが、これは皆さんの環境に合わせて書き換えてかまいません。設定ポイントしては、次の通り:

  • サーバー(これは先ほど「リモートサーバ」で追加したマシンがリスト化されていますのでここから選択してください)
  • スクリプト(準備したテキストファイルに記述したコマンドを実行するので、ここでは COMMAND を選択してください)
  • 出力のエンコード(これは皆さんの環境にあわせて最適なエンコードを選択してください)
  • 照合値のラベル(複数の値を収集すると同じような桁数を持つ数字のデータの区別がつきにくくなるので分かりやすくするためのラベルを設定します)
  • 照合表現(取得する値が一定の規則であれば、それを正規表現を使ってチェックをかけます)
  • リモートスクリプトコマンドファイル(scripts.remote フォルダに保存したファイルを選択します)

設定が終わったら「検証および保存」をクリックして実際に取得できるか試してから保存しましょう。

SiS049.png

はい、問題なくHP SiS 経由でコマンドが RHEL に SSH 経由で実行されて、照合値のラベル付きで値が取得出来ている事がわかります(下図)。では、「OK」をクリックして閉じましょう。

SiS050.png

HP SiS の画面に戻るとこのように追加されている事が確認できますね(赤枠部分)?他の値を収集するのであれば、同様の操作を繰り返して追加しておきましょう。作業を確認する時に注意するのは「状態」の箇所です。これが緑であれば問題ないですが、ここが緑じゃないと問題ですのでその場合は、再度接続確認から確認していきましょう。SiS052.png

ここまでで、HP SiS 側の設定を終わります。今度は、HP LR で HP SiS で設定したモニタリング情報を取得していきましょう。HP LR のコントローラを起動して、「実行」タブを開きましょう(下図)。コントローラの操作については、以前の HP LR の使い方を振り返ってみましょう。左中央の「利用可能なグラフ」から「SiteScopeグラフ」の「SiteScope」を選択して、そのまま、中央のリアルタイムリソース表示の部分にドラッグしてみましょう(赤枠参照)。

SiS053.png

追加した「SisteScope」グラフの上で右クリックして「測定値の追加」をクリックしてみましょう(赤枠部分)。

SiS054.png

「SiteScope」画面がポップアップ表示されますので、初期はHP SiS サーバーがまったく表示されていませんので、「追加」をクリックしましょう(赤枠部分)。

SiS055.png

前回インストールした HP SiS サーバーの名前(逆引きできるホスト名かIPアドレス)を入力し、ポートとして8888を設定しましょう。HP SiS サーバーをインストールした際に、アクセス画面のポートは8088で設定しましたが、HP LR からアクセスするのは違う 8888 ポートになります。設定したら、「OK」をクリックしましょう。

SiS056.png

すると、監視するサーバーマシンとしてHP SiS の名前(逆引きできるホスト名、もしくはIPアドレス)が表示されていると思います。次に、「リソース測定場所」に収集するリソースを追加していきます。「追加」ボタンをクリックしましょう(赤枠部分)。

SiS057.png

「SiteScope モニタ設定」画面が表示されます。すると次のように「測定コンポーネント」に HP SiS 側の「モニター」がツリー状に表示されていますね。取得したいのは、「 MobileAutomationTestSystem 」ですので、チェックボックスをチェックし、「OK」をクリックしましょう。

SiS058.png

このように、取得できるデータがリストで表示されます。

  • 照合値のラベル (今回はmpstat -P All のusr% 値に対してCPU CORE 1 USER% というラベル)
  • round trip time (送信して返信が戻るまでの時間)
  • script execution time (収集コマンドで実行時間)
  • status (ステータスを取得します)

SiS059.png

リストから必要なものを取得したいので、不要なものは選択して削除しておきましょう。ここでは、round trip time と status は削除しました。このようになっています(↓下図)。ここまで設定したら「OK」をクリックしましょう(赤枠部分)。

SiS060.png

すると、HP LR の「実行」タブ画面で自動的に収集が始まります。赤枠部分を見て下さい。設定したHP SiS の対象マシンのリソース情報が収集できている事が確認できますね。

SiS061.png

これで、 HP LR だけでは収集できないリソース情報をHP SiS を利用して収集する事ができましたね。長くなりましたが3回にかけて紹介してきたHP SiS 連携方法の紹介を終えたいと思います。

1回目で書いたように、HP LR 12.02 の場合、HP SiS 11.24 を準備しなければなりません。現在、HP SiS の評価版ダウンロードサイトからできるバージョンは最新版になっており、11.24は入手できません。そこで、HP LR と HP SiS の連携を評価される方は、お手数ですが、貴社担当HP営業もしくは、こちらのサイトからお問い合わせください。評価用の HP SiS をお送りさせていただきます。

では、また。

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