ライセンス選定までの流れ (HP LoadRunner 編)

1. 無償版 (Community Edition)紹介


まず最初に、HP LoadRunner (以後HPLR) は無償版と有償版の大きく2つがあり、その無償版について説明していきます。

無償版はCommunity Editionと呼ばれ、2014年3月から利用できるようになっています。

無償版 (Community Edition) は次のような特徴と制約があります。大きな制約としては負荷を生成できる仮想ユーザの最大数が50VUまでという事です。仮想ユーザについてよく分からないと言う方は、「ここからはじめよう_4回目 「LRv12 使ってみよう(前編)」もあわせて読んでください。

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2. 有償版ライセンスの種類

有償版もユーザ(テスター)の利用状況にあわせて、次の3タイプあります。

● 永久ライセンス (Perpetual License)

● 期間限定ライセンス (Term License)

● 1年有効プリペイドライセンス (VUD: Virtual User Day (利用仮想ユーザ数 x 利用日数))

永久ライセンスは文字通り、購入後ずっと使い続けられる権利があります(サポートを受けるには別途保守費用が発生します)。残りの期間限定ライセンスとVUDについては次の図にまとめてみましたのでまずは見て下さい。

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この図の中でも利用シーンの参考例が書いてありますが、次のようなライセンスを組み合わせる利用例も紹介しておきます。ライセンスをうまく組み合わせる事によって、永久ライセンスで最大仮想ユーザ数を購入する場合に比べてリーズナブルに購入額を抑える事ができますので、「利用シーン(どのような負荷テストをするか)」をしっかり考えておきましょう。
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最低利用する仮想ユーザ分を「永久ライセンス」として購入、システムテストが集中する時期は足りない分を「期間限定ライセンス」として購入する。システムテストの一部でシステムリソースの限界テストを実施する場合、リソースがサチるまで「1年間有効プリペイドライセンス」で仮想ユーザを集中追加する。

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こんな感じで皆さんの状況にあわせた最適なライセンスを選択してもらえればと思います。

ここで説明していなかった、「Foundation ライセンス」が注に出てきましたので、次にこれについて説明します。

3. Foundation ライセンス

HPLR の基本構成は次のような構成になり、「性能テスト管理マシン(コントローラ)」で負荷生成シナリオとサーバーリソースの収集をしています。つまり、負荷テストを実施するには、必ず1性能テスト管理マシン(コントローラ)が必要になります。これまでの有償版のライセンス説明で、「仮想ユーザ」に対してライセンスが発生すると説明しましたが、厳密にはコントローラを使用するためのライセンスが必要になります。それが「Foundation ライセンス」になります。つまり、必要な仮想ユーザライセンスと Foundation ライセンスで、基本構成にある各コンポーネント(「性能テスト分析」、「性能テストスクリプト作成」、「性能テスト管理マシン」、「性能テスト負荷生成マシン」)を利用する事が出来ます。つまり、同時に別々のプロジェクトがあり、HPLR の基本構成を 2 システム構築する場合は、Foundation ライセンスはシステム数にあわせて 2 ライセンス必要になります。

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この基本構成図でよくお客様訪問時に聞かれるポイントを解説します。

● 性能テスト分析(アナリシス)

● 性能テストスクリプト作成(VUGen)

● 性能テスト負荷生成マシン(LG: ロードジェネレータ)

については、インストールマシン数に制限はないという事です。ですから、特に「性能テスト負荷生成マシン」が仮想ユーザ数が増えることによってCPUやメモリといったリソース消費が激しい場合、必要な数のマシン台数に性能テスト負荷生成コンポーネント(LG: ロードジェネレータ)をインストールしてもライセンスには影響ありません。

一方、

● 性能テスト管理マシン(コントローラ)

のマシンは例え複数マシンにインストールしたとしても、利用できるのは1つだけになります。理由は、コントローラに仮想ユーザライセンス購入すると提供されるライセンスコードを入力して購入した仮想ユーザ分のプロトコル(プロトコルについては後述)に対する負荷生成機能が有効になるためです。

以前(V11.5 以前)のユーザであれば、この Foundation ライセンスの事を聞いて「なんだ?」と思うでしょう。そこで、V11.5 以前のライセンスを利用されていたユーザ向けに補足しておきたいと思います、まずこの図を見て下さい(下図)。

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これを見てわかるように、以前(2013年12月以前)のユーザは「性能テスト管理マシン(Controller コントローラ)」コンポーネントをインストールして利用するために「Controller コントローラ」ライセンスを購入していました。現在(2014年1月以降)は、この「Controller コントローラ」ライセンスはなくなりました。ただし、「Foundation ライセンス」は必要になります。「Controller コントローラ ライセンス」が「Foundation ライセンス」に代わっただけではと思うかもしれませんが、「Controller コントローラ」ライセンスと比較し、価格が非常に下がり、実質「仮想ユーザライセンス」の価格だけ予算化の際に気にすればいいほどになった事が大きな違いとしてあげられます。これによって、HPLR の導入時の初期費用が以前と比較しぐっと下げる事ができるようになりました。

また、「Foundation ライセンス」には、重要な次の内容が含まれている事を説明しておきます。

● サポート利用権(サポートへの問い合わせができます)

● HP SiteScope 2000メトリック利用権(HPLR による性能テストで利用する事を条件に監視ツール HP SiteScope が利用できます)

HP SiteScope を利用する事でどんなリソース情報が収集できるかについては、こちらを参照ください。

ここまでをまとめると次の3 つのポイントになります。

● HPLR には無償版(Community Edition)と有償版がある

● 有償版のライセンスは「仮想ユーザライセンス」と「Foundation ライセンス」で構成される

● 仮想ユーザライセンスには「永久ライセンス」、「期間限定ライセンス」、「1年有効プリペイドライセンス」の3つがある

実は「仮想ユーザ」ライセンスには、テスト対象システム(AUT)で採用しているテクノロジーにあわせて購入するライセンスが異なります。これを「プロトコルバンドル」といいます。HPLR は対応しているテクノロジーが幅広いのがメリットです。そこで、システムでどんな技術を使っているか、その情報を元に必要な「仮想ユーザライセンス」の「プロトコルバンドル」は何なのかを調べる必要があります。次は、この「プロトコルバンドル」をどのように選定し、最適な仮想ユーザライセンスを決定するか説明します。

4. 「プロトコルバンドル」と「仮想ユーザライセンス」決定

まず、「プロトコルバンドル」を選定し、購入する最適な「仮想ユーザライセンス」を決定するための流れをまとめた図をみて下さい(下図)。

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この図にある順番どおりに確認していけば、最適な「仮想ユーザライセンス」を決定する事ができます。順に説明していきます。

まず最初の「1) 対象アプリケーションシステムの採用技術確認」ですが、Web であるとか、SAP アプリケーションというレベルはよく聞きますが、HPLR が対応しているかどうかを確認するには、これでは足りません。きちんと、Web であれば、AJAX などの非同期通信をしているのか?Flex や Silverlight のような RIA のテクノロジーを採用しているか、その場合はバージョンは何か?という情報を集めておきましょう。

採用技術情報の収集ができたら、次の「2) HP LoadRunner での採用技術対応状況確認」に進みます。具体的にはPAM(Product Availability Matrix)という HPLR でサポートしている技術情報が掲載されている資料でみなさんのテスト対象システムの採用技術(テクノロジー)が対応しているか確認します。このPAMは、HP のサポートサイトへのアクセスIDアカウントを持っているのであれば、直接ご自身でこちらダウンロードして確認する事ができます。

もし、アクセスIDアカウントがない場合は、こちらのフォームからお問い合わせ下さい。問い合わせの内容記入欄に「HP LoadRunner のPAM 送付希望」と書いてください。もし希望のHPLR バージョンの指定がある場合はそれも書いてください。特にバージョンについての希望がない場合は、最新バージョンのPAM を送付します。

ここまできたら、みなさんのシステムが HPLR で対応している技術なのかどうかが分かっている訳ですね。その技術名を HPLR では、「プロトコル」といいます。「プロトコル」はいくつかをまとめて「プロトコルバンドル」としたものをライセンスとして購入する時にパック化しています。例えば、Web で HTTP 通信を対象するのであれば「Web & MultiMedia」というプロトコルバンドルに含まれています(下図)。

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さらに、Web でも RIA であれば、その名のとおり、「Rich Interrnet application」というプロトコルバンドルを選びます。

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どっちもやりたいときは、両方(「Web and Multimedia」と「Rich Internet applications」の両方)を選ばないといけないの??という時もプロトコルバンドルをじっくり見直してみましょう。例えば、いまの例であれば、「Web 2.0」というプロトコルバンドルを選択すれば、どちらも入ってて、しかも上の2つを選択するよりも安くなります。

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という事で、プロトコルバンドルで何を選べばいいのかを考えるのもライセンス選定に重要になる訳です。

このプロトコルバンドルは、こちらからダウンロードできます。もしダウンロードできない場合、こちらまでお問い合わせください。

ここまでくれば、「4) 必要な仮想ユーザー数、ライセンス体系を決定 」です。前述の「永久ライセンス」、「期間限定ライセンス」、「1年有効プリペイドライセンス」をどのように組み合わせてどの「プロトコルライセンス」で購入するかが明確になり、みなさんのシステムに対して必要なライセンスを決定できる訳です。

以上で、HPLR ライセンス選定までの流れを終えます。ここまで確認して、購入を検討したいと言う方は、こちらからお問い合わせください。お待ちしております!!

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