Vertica 11.1ではComplex Data Typeのサポートを大幅に拡張し、外部データの参照やデータのインポート・エクスポートを簡素化しています。また、私たちはすべてのリリースにおいてパフォーマンスの改善に努めています。このリリースにおいても、Unsegmented Tableの結合処理の高速化、外部Parquetデータの参照の効率化を行っています。セキュリティと信頼性も重要なポイントです。11.1では、ネットワークやクライアントの切断が発生した際にスムーズに操作を完了しクリーンアップする機能により、信頼性を向上させています。セキュリティにおいては、ユーザ認証のタイムアウト制御を改善させる、JDBCおよびODBC接続におけるシングルサインオンのサポートを拡充する、などの対応を行っています。今回のVerticaの進化も是非お試しください。
Vertica 11.1の主な新機能および変更点は以下の通りです。
データ型
Complex Typeのキャスト
Struct型(ROW型)とComplex Typeを持つARRAY型のキャストをサポートします。ROW型をキャストする際、フィールドの名称を変更することができます。ARRAY型をキャストする際、配列の長さを変更することができます。プリミティブ型のみを持つARRAY型の長さを変更する際、入力する配列が長い場合は切り捨てられます。Complex Typeを持つARRAY型の長さを変更する際、変更後の長さが短い場合はキャストは失敗します。
データロード
JSON, Avro ParserによるComplex TypeのStrong Typeのサポート
JSON, Avro Parserにおいて、Complex Typeのデータを保持するためのVMap (LONG VARBINARY) を用いたFlexible Typeに加えて、プロパティの名称と型を明示的に指定するStrong Typeをサポートします。
KafkaAvroParserはこの変更の対象外です。
追加でサポートされるParquetファイルフォーマット
Parquet parserは次のファイルフォーマットをサポートします。
- DATA_PAGE_V2のページタイプで出力されたParquetファイル
- DELTA_BINARY_PACKEDエンコードを使用したParquetファイル
SQLステートメント・ファンクション
INFER_EXTERNAL_TABLE_DDLファンクションによるAvroフォーマットのサポート
INFER_EXTERNAL_TABLE_DDLファンクションは入力ファイルとしてParquet・ORCに加えてAvroフォーマットのファイルをサポートします。
ストアドプロシージャ
ストアドプロシージャ作成者のパラメータでの実行
SECURITY DEFINERを指定されたストアドプロシージャは作成者の次のパラメータを基に実行されます。
- デフォルトのロール
- USERレベルの設定パラメータ
- SESSIONレベルの設定パラメータ ユーザ設定情報
- RESOURCE POOL
- MEMORYCAP
- TEMPSPACECAP
- RUNTIMECAP
セキュリティ
PasswordLockTimeUnitパラメータ
PasswordLockTimeUnitセキュリティパラメータを用いて、FAILED_LOGIN_ATTEMPTSパラメータに指定された回数のログイン失敗によるアカウントのロックの期間の単位を日,時間,分,秒を指定できるようになります。
OAuth 2.0によるユーザ認証のサポート
ユーザ認証方式としてOAuth 2.0を選べるようになり、JDBCとODBCのクライアントはアイデンティティ・プロバイダを通じてトークンを用いたユーザ認証を行うことができます。
Containers・Kubernetes
Red Hat OpenShiftのサポート
Verticaは、Kubernetesにセキュリティ機能などを追加したハイブリッドクラウドプラットフォームであるOpenShiftをサポートします。VerticaDB operatorはOpenShift 4.8以降をサポートするコミュニティーOperatorとしてOperatorHubに公開されています。
Online Upgrade
クラスタを停止させることなしにVerticaをアップグレードさせることができます。新しいupgradePolicy Custom Resourceパラメータを設定することで、データベースの処理を中断させることなしに一度に1つのSubclusterをアップグレードすることができます。
マネージドKubernetesサービスのサポート
VerticaはAmazon Elastic Kubernetes Service(EKS)とGoogle Kubernetes Engine(GKE)のマネージドKubernetesサービスでの動作をサポートします。
Helm ChartでインストールされたOperatorのロギング
Helm ChartでインストールされたVerticaDB operatorのロギングに機能が追加されます。Operatorのログを標準出力だけでなく、PODのファイルシステム内のファイルに出力させることができます。また、新しいHelm Chartのパラメータを用いてログレベルの設定ができます。
Verticaコンテナの環境変数設定
Custom Resourceのannotationsパラメータを使うことでVerticaコンテナに環境変数を設定することができます。
機械学習
TensorFlow Integration
以前のバージョンでは次のデータ型をサポートしていました。
- 入力:TF_FLOAT, TF_DOUBLE
- 出力:TF_FLOAT, TF_INT64
Vertica 11.1では次のデータ型のサポートが追加されます。
- 入力:TF_INT8, TF_INT16, TF_INT32, TF_INT64
- 出力:TF_DOUBLE, TF_INT8, TF_INT16, TF_INT32
User-Defined Extensions
エラー・警告の通知(C++)
新しいAPIを用いてC++で開発されたUDxからクライアントにエラーや警告,その他のメッセージを通知することができます。Verticaが通知するメッセージと同様に、詳細な情報やヒントなどを含むことができます。
システムテーブル
NODESテーブルの新しいBUILD_INFOカラム
NODESテーブルに新しくBUILD_INFOカラムが追加されます。このカラムにはノードで実行されているVerticaバイナリのバージョンが表示されます。
NODESおよびNODE_STATESテーブルのNODE_STATEカラムに表示される新しいステータス
NODESおよびNODE_STATESテーブルのNODE_STATEカラムに新しくUNKNOWNのステータスが追加されます。ノードがクラスタの一部として認識されているにも関わらず状態を確認するための通信ができない場合にこのステータスになります。
その他の変更点については製品ドキュメントのVertica 11.1.x New Features and Changesをご覧ください。是非、Verticaの最新バージョンをお試しください。
Premium Edition(製品版)のダウンロードサイト:https://support.microfocus.com/downloads/swgrp.html
Community Editionのダウンロードサイト:https://www.vertica.com/try/