Vertica 11.0.2がリリースされました。
本リリースは前回のリリースに引き続き、11.0のサービスパックの位置づけになります。みなさまからのフィードバックに基づいた多くの修正点および改善点を含んだリリースとなっています。
主な新機能および変更点は以下の通りです。
Eon Mode
Tuple Mover Mergeoutを実行できるNodeの拡張
Tuple MoverはShardのPrimary SubscriberであるNodeでのみ実行できました。11.0.2より、Primiary SubscriberはMergeout処理のPlanを作成し、Mergeoutを実行するノードを選びます。ノードはPrimary Subscriber自身、または他のPrimary, Secondary Nodeの場合もあります。どのPrimary, Secondary Nodeでも、TMリソースプールのMAXMEMORYSIZEとMEMORYSIZEに0より大きい値が設定されていればTuple Moverを実行することができます。もし、Secondary SubclusterにMergeout処理を実行させたくない場合、リソースプールの設定をSubclusterのレベルで変更することで実現できます。
Tuple Moverの実行を他のNodeで行うことで、Mergeoutのオーバーヘッドを分散させることができます。
QuorumまたはPrimary Shard Coverageを失った際のRead-Only Mode
Eon Mode DatabaseはQuorumまたはPrimary Shard Coverageを失った場合、データの不整合を防ぐため、データベースを停止させていました。11.0.2から、どちらを失った場合でもデータベースは停止する代わりに、Read-Only Modeに移行します。このModeでは、Global Catalogの変更を伴わないクエリを、Shard Coverageの条件を満たしているSubclusterで実行することができます。DDLやGlobal Catalogの変更を伴うDMLを実行するとエラーとなります。
Read-Only Modeは、停止したNodeの問題を解決するまでクエリを実行できる環境を提供します。停止したNodeを再起動しリカバリできると、VerticaはClusterを再構成し、通常の運用に復旧させます。
コンテナおよびKubernetes
サポートするCommunal Storage
以前はCommunal StorageとしてAmazon Web Services (AWS) S3またはS3互換のストレージのみをサポートしていました。これを拡張し、次のCommunal Storageをサポートします。
- Google Cloud Storage (GCS)
- Azure Blob Storage
- Hadoop Distributed Filesystem Storage (HDFS)
Vertica OperatorがOperatorHub.ioで公開
Kubernetes Operatorの選択を簡素化するために提供されるOperatorのレジストリであるOperatorHub.ioでVertica Operatorが公開されました。
Vertica Server ContainerのCustom Volume Mount
Podのライフサイクル間でデータを永続化する要件のあるタスクのためにCustom Volume MountをVertica Server Containerのファイルシステムにマウントできます。
vlogger Image
ロギングのためのSidecar Utility Containerを配布するためのvlogger imageを提供します。vloggerはログ収集のためにvertica.logのログを標準出力に送ります。
Hybrid Kubernetes Cluster
Eon Modeデータベースをお使いの場合、ホストの一部をKubernetes内で動作させることができます。Hybrid Kubernetes ClusterではOperatorによる自動化のいくつかに制限があります。このアーキテクチャは次のシナリオに役立ちます。
- Secondary Subclusterを迅速に作成するためにKubernetesのツールを有効活用する。
- 商用データを用いてクエリを実行するための隔離されたサンドボックス環境を作成する。
- Primary SubclusterをKubernetesに移すことなく、Kubernetes環境でVerticaを動作させる上でのパフォーマンス面でのオーバーヘッドを確認する。
Client Driver
JDBC: Configurable Network・Node・Socketタイムアウトの設定
クライアントがデータベースにログインするまでの時間を制御する既存のタイムアウトパラメータのLoginTimeoutに加えて、次のタイムアウトをJDBCの接続プロパティに指定できます。
- LoginNodeTimeout: クライアントが次のノードに接続を試みる前までのデータベースログイン完了までの制限時間。次の接続ノードはBackupServerNode接続プロパティまたはDNS名前解決のいずれかで決定されます。
- LoginNetworkTimeout: クライアントがVerticaノードへのTCP接続確立までの制限時間。
- NetworkTimeout: Verticaがクライアントにリクエストの返答を返すまでの制限時間。
設定パラメータ
SESSIONに設定できるパラメータのほとんどがUSERに設定できるようになります。configuration_parametersテーブルのallowed_levelsカラムを参照してください。
データベース管理
新しいパラメータ: AccessPolicyManagementSuperuserOnly
新しいAccessPolicyManagementSuperuserOnlyパラメータを用いて、スーパーユーザのみがアクセスポリシーを管理できるように制御できます。デフォルト値は無効になっています。
データ型
テーブルでのComplex Typesの利用
11.0.2より複雑なComplex Typeをテーブル(ROSファイル)で使用することをサポートします。テーブルとExternal Tableの両方でComplex Typeのカラムを持つことができ、最大100階層までネストさせることができます。サポートされるComplex TypeはROW (Struct), ARRAY, SET型です。MAP型はROW型の配列として表すことができます。標準のParserのうち、ParquetとORCのParserがComplex Typeのデータロードをサポートします。
Complex Typeをテーブルで使用する際、いくつかの制限があります。詳しくは製品ドキュメントを参照してください。
文字列データと数値データの比較
クエリで文字列のデータ型とINTEGERのデータ型を明示的な変換をせずに比較することができます。
サポートされる文字列のデータ型はCHAR, VARCHAR, LONG VARCHARで、数値のデータ型はINTEGER, FLOATです。サポートされる比較は等値比較(=, <=>, !=, <>)で、大小比較は対象外です。
地理空間分析
新しいST_GeomFromGeoJSONファンクション
新しいST_GeomFromGeoJSONファンクションはジオメトリを表すGeoJSONをGEOMETRY型のデータに変換します。地理空間分析の機能を実行するためにGeoJSONのデータをVerticaにロードする際に使用できます。
データロード
リクエスタ支払いS3バケットへのアクセス
バケットのデータにアクセスするコストをリクエスタが支払うように設定されたバケットにアクセスする設定ができます。この場合、バケットの所有者は可能されたデータに対してのみ支払いが発生します。これは、個々のバケットに対してS3BucketConfigパラメータを設定するか、すべてのバケットに有効なS3RequesterPaysパラメータを設定することで有効となります。
機械学習
APPROXIMATE_PERCENTILE実行時の複数パーセンタイルの指定
APPROXIMATE_PERCENTILEファンクションを実行する際、FLOATの配列の形で複数のパーセンタイルを指定することができます。
Random-forest PMML Modelのサポート
Random-forest PMML Modelをインポートすることができます。PMMLでは、Random-forest ModelはTreeModelsの組み合わせとなります。
SQLファンクション・ステートメント
集計関数のWITHIN GROUP ORDER BY句
いくつかのVerticaのファンクションはWITHIN GROUP ORDER BY句をサポートします。これにより、集計された値のグループごとにデータをソートすることができます。以下のファンクションでWITHIN GROUP ORDER BY句を使用することができます。
- ARGMAX_AGG
- ARGMIN_AGG
- IMPLODE
- LISTAGG
この句はUser-Defined Aggregate Functionでもサポートされます。
ストアドプロシージャ
GEOMETRY型・GEOGRAPHY型のサポート
PL/vSQLがGEOMETRY型・GEOGRAPHY型をサポートします。現在サポートされているデータ型については製品ドキュメントを参照してください。
ALTER PROCEDURE文
ALTER PROCEDURE文も用いて既存のプロシージャを変更することができます。
その他の変更点については製品ドキュメントのVertica 11.0.x New Features and Changesをご覧ください。是非、Verticaの最新バージョンをお試しください。
Premium Edition(製品版)のダウンロードサイト:https://support.microfocus.com/downloads/swgrp.html
Community EditionのダウンロードおよびVertica Acceleratorの試用サイト:https://www.vertica.com/try/