Vertica 12.0のリリース

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Unified Analytics PlatformのVertica version 12をリリースいたしました。昨年の6月にリリースしたVertica version 11以降、複数のリリースを行ってきました。Verticaのリリースは以前より増して継続的に行っており、開発担当はそれぞれのリリースに多くの機能を盛り込んでいます。これは、たくさんの新しい機能が今回のメジャーリリースだけではなく、マイナーリリースにおいても実装されていることを意味します。
Vertica version 12の主な新機能および変更点は以下の通りです。


クライアント接続制御

Keep Alive設定

次のパラメータを使用してTCP Keep Aliveの設定をデータベースレベルまたはセッションレベルで行えるようになります。

  • KeepAliveIdleTime:クライアントがまだ接続されているか確認するためのTCP Keep Alive Probeが送信されるまでの時間。
  • KeepAliveProbeInterval:TCP Keep Alive Probeが送信される間隔。
  • KeepAliveProbeCount:クライアントとの接続が失われたと判断するまでのTCP Keep Alive Probeに対する未応答回数。

Client Driver

OAuth設定の一本化

OAuthの設定を簡素化するために、OAuthのパラメータを1つのJSON文字列としてOAuthJsonConfig(ODBC)またはoauthjsonconfig(JDBC)に渡すことで設定できるようになります。

JDBC DataSource Userプロパティ

getUser()またはsetUser()を用いてDataSourceのUserプロパティを取得または設定できるようになります。

ODBC

ODBC標準により準拠するために数多くのエンハンスメントが行われています。ODBC APIを直接呼び出すアプリケーションを開発されているケースは変更内容をご確認ください。

Vertica on the Cloud

新しくサポートされるAWS EC2インスタンスタイプ

AWSにおいて3つのi4i, 2つのr6i, 1つのc6iのEC2インスタンスタイプを新たにサポートします。

コンテナ・Kubernetes

Spread通信の暗号化

Vertica DatabaseのSpread通信の暗号化を、Custom ResourceのenableSpreadEncryptionパラメータを用いることで有効化できるようになります。

データベース管理

スキーマ・テーブルのディスククオータ

スキーマまたは個々のテーブルにディスククオータを設定することができるようになります。ディスク使用量の増えるほとんどのユーザ操作がディスククオータのチェック対象となります。Recovery, Rebalance, Tuple Moverの操作は対象外です。

Eon Modeの場合、スキーマまたはテーブルのすべてのShardが使用しているディスク領域の総量がディスク使用量となります。Enterprise Modeの場合、Buddy Projectionを除くすべてのノードのStorage Containerが使用しているディスク領域の総量がディスク使用量となります。

DISK_QUOTA_USAGESシステムテーブルを用いてクオータと現在の使用量を確認することができます。

診断ツール

Scrutinize

scrutinizeはtimedatectlコマンドを用いてタイムゾーンの情報を収集します。

Eon Mode

Shard数の変更

新しいRESHARD_DATABASEファンクションを用いてEon Mode DatabaseのShard数を変更することができるようになります。以前はShard数はDatabase作成時に指定され、その後変更することはできませんでした。

Graceful Shutdown

SHUTDOWN_WITH_DRAINファンクションを用いてSubclusterを停止させることで、接続中のクライアントに時間的猶予を与えることができるようになります。すべてのクライアント接続がクローズされるまで既存のクライアント接続は処理を継続できます。また、タイムアウト時間を指定することもできます。どちらかを満たした場合にファンクションはSubclusterの停止を行います。

データロード

ファイルパスを用いたパーティション化

データファイルはディレクトリ構造を用いてパーティション化されて配置されていることがあります。パーティション化は、そのキーを実データから取り出しディレクトリ構造の一部を形成しディスク使用量を削減しますが、データを参照する際には元にあった場所に含まれます。パーティション化は、クエリの対象とならないディレクトリを読み飛ばすことでクエリのパフォーマンスを向上させることができます。

以前は、ParquetおよびORCパーサーのみファイルパスを用いたパーティションを活用することができていました。今後は、すべてのパーサーにおいてサポートされ、新しいPARTITION COLUMNSオプションを用います。

機械学習

Isolation Forest

Isolation Forestアルゴリズムを新たにサポートします。Isolation Forestは異常検出アルゴリズムで、不正利用検知やシステム監視などのアプリケーションで使用することができ、分析に使用するデータセットから外れ値を削除する使い方もできます。

切片の算出を行わない線形回帰・ロジスティクス回帰モデルの作成

線形回帰・ロジスティクス回帰モデルの学習をする際、切片を算出しないオプションが追加されます。

Management Console

カスタムアラート

アラート名・SQLクエリ・変数を用いたカスタムアラートを作成できるようになります。

Microsoft AzureでのEon Mode DatabaseのRevive

Microsoft Azure上のEon Mode DatabaseをManagement ConsoleからReviveできるようになります。

AWSでのRevive・スケール時のファイルシステムレイアウトの変更

Amazon Web Services(AWS)において、Revive時・Subcluster作成時・Subclusterスケール時にDepot・Temp・Catalogディレクトリの変更ができるようになります。

プロジェクション

Aggregate ProjectionによるPartition Rangeのサポート

Partition RangeがLive Aggregate ProjectionおよびTop-K Projectionでサポートされるようになります。

Vertica SDK

Polymorphic Aggregate Functions

User-defined Aggregate Functions(UDAF) がポリモーフィズムをサポートします。ポリモーフィズムファンクションは任意の数とデータ型の引数を定義することができます。

Python SDKによるComplex Type

Pythonを用いたUser-defined ExtensionにおいてComplex Typeの読み書きができるようになります。Complex TypeにはARRAY型, ROW型, およびその組み合わせをサポートします。

セキュリティ・ユーザ認証

認証エラーメッセージ

セキュリティを向上するために、ユーザからの接続認証に対する"Invalid username or password"のエラーを発生させません。また、認証方式固有のエラーメッセージの代わりに"Authentication failed for username "name""のメッセージに統一します。

デフォルトの認証設定

3つのデフォルトの認証設定が初期設定時に作成され、publicロールに付与されます。これらの設定の優先度はすべて"-1"となっており、ユーザが作成する認証設定が常に優先されます。以前は、認証設定が作成されていない場合、暗黙のルールに従って処理が行われていました。

多段的な認証

複数の認証設定を作成し、認証を失敗した場合は優先度に応じて次の認証を試みることができるようになります。

SQLファンクション・ステートメント

INFER_TABLE_DDLファンクションによるJSONのサポート

INFER_TABLE_DDLファンクションがJSONファイルからテーブル定義の候補を生成できるようになります。JSONファイルは明確なスキーマ定義を持たないため、このファンクションはデータに着目します。JSONデータはレコードごと・ファイルごとに様々な形式を取ることがあります。そのため、このファンクションは1つ以上の候補を出力します。

イミュータブルなテーブル

イミュータブルなテーブルはユーザの権限に関わらず既存のデータの改変を許さず、データの挿入のみを許可します。データの変更および削除は行えません。また、テーブル名を変更するなどの操作も行えません。

ユーザと権限

LDAP Linkで同期されるグループをデフォルトロールに

デフォルトの動作として、LDAP Linkサービスによって同期されるユーザはそのLDAPグループがロールとして付与されます。ただし、そのロールはユーザのデフォルトロールではないため、手動でSET ROLEなどを用いて有効化する必要があります。新しいLDAPLinkAddRolesAsDefaultパラメータを有効化することで、このロールをデフォルトロールとして自動的に設定します。



その他の変更点については製品ドキュメントのVertica 12.0.x New Features and Changesをご覧ください。是非、Verticaの最新バージョンをお試しください。

Premium Edition(製品版)のダウンロードサイト:https://support.microfocus.com/downloads/swgrp.html

Community EditionのダウンロードおよびVertica Acceleratorの試用サイト:https://www.vertica.com/try/

製品ドキュメント:https://www.vertica.com/docs/12.0.x/HTML/index.htm

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