Vertica 12.0.2がリリースされました。
本リリースは前回のリリースに引き続き、12.0のサービスパックの位置づけになります。Verticaはみなさまからのフィードバックに基づいた改善を継続して行っております。
主な新機能および変更点は以下の通りです。
クライアント接続
クライアントラベル
vsqlでデータベースに接続する際、--labelオプションを使ってクライアントラベルを設定することができるようになります。クライアントセッションとラベルはSESSIONSシステムテーブルで確認することができます。このオプションは、既存のセッションにクライアントラベルを設定するSET_CLIENT_LABELファンクションを補完するものです。
JDBC接続時のデータベース名
DriverManager.getConnection()のデータベース名のパラメータは任意項目となります。
クライアントドライバ
OAuth認証使用時のホスト名確認の無効化
OAuthJsonConfigのoauthvalidatehostnameパラメータを用いてOAuth Identity Providerのホスト名確認を無効化することができるようになります。
ODBCのリクエストタイムアウト
ConnectionTimeoutパラメータを用いてODBCクライアントが送ったリクエストに対するタイムアウト時間を指定することができるようになります。
パブリッククラウド
Vertica AMIによるIMDSv2のサポート
Vertica AMIは、S3を含むAWSのサービスへの認証にAWS Instance Metadata Service Version 2(IMDSv2)を使用できるようになります。
複合データ型
配列(ARRAY)型の検索
ARRAY_FINDとCONTAINSがラムダ関数を用いた条件を満たす要素を検索できるようになります。新しいFILTERファンクションは条件を配列に適用し、その条件を満たす要素のみを持つ配列を返します。
Parquetファイルへのエクスポート
EXPORT TO PARQUETがARRAY型・ROW型をサポートします。
Eon Mode
RESHARDING_EVENTSシステムテーブル
RESHARDING_EVENTSシステムテーブルは、Reshard処理の状況やタイムスタンプのようなReshard処理の情報を、過去の履歴および実行中のReshard処理について提供します。
インストール・アップグレード
バイナリパッケージの並行インストール
install_scriptの新しい--parallel-no-promptsフラグを用いて、Verticaのバイナリを一度に一つのホストにインストールする代わりに、複数のホストに並行してインストールできるようになります。このフラグを用いることで、特に大規模クラスタにおいて、Verticaをインストールする時間を短縮することができます。
ライセンス
AutoPassライセンスの取り扱いの改善
AutoPass License Serverを持たない環境で発行されたAutoPassライセンスを拒否し、解析できなかった理由を示すエラーコードと通知を返すようになります。
データのロード
一致しないデータフィールドに対する警告
JSONとAVROパーサーは、ロードされたデータがテーブル定義に存在しないフィールドを含んでいる場合に警告を出力するようになります。このフィールドはUDX_EVENTSテーブルに記録され、あとからALTER TABLE文を用いて対象のテーブル定義に追加できるようにします。
機械学習
自己回帰モデルによるYule-Walkerアルゴリズムのサポート
Yule-Walkerアルゴリズムを用いた自己回帰モデルのトレーニングができるようになります。AUTOREGRESSORファンクションがmethodパラメータを提供し、最小二乗法またはYule-Walkerアルゴリズムを選択できます。
Jaro-Winkler距離
二つの文字列に対してJaro距離およびJaro-Winkler距離が計算できるようになります。
Management Console
ユーザーインターフェイスのテキスト表記の多言語対応
/opt/vconsole/temp/webapp/resources/i18n/lang内の言語ファイルを用いてユーザーインターフェイスのテキスト表記の表示言語を変更できるようになります。言語ファイルは、サポートする言語の一覧を持つlocales.jsonファイル、翻訳されたテキスト表記を持つファイルを格納するディレクトリであるリソースバンドルから構成されます。初期状態では、次の言語のリソースバンドルを提供します。
- アメリカ英語
- 中国語簡体字
AWSにおけるr6i・c6iインスタンスタイプのサポート
Management Consoleは次のr6i・c6iのインスタンスタイプをAmazon Web Services(AWS)においてEon ModeとEnterprise Modeの両方に対してサポートします。
- c6i.4xlarge
- c6i.8xlarge
- c6i.12xlarge
- c6i.16xlarge
- r6i.4xlarge
- r6i.8xlarge
- r6i.12xlarge
- r6i.16xlarge
Management Consoleから次の操作を行う際にこれらのインスタンスタイプを選択できます。
- データベースのプロビジョニング
- データベースのリバイブ
- データベースのスケールアップ
- 新しいSubclusterの追加
停止したノードがある状態でのスケールダウンおよびSubclusterのターミネイト
次のクラウド環境において停止したノードがある状態でスケールダウンまたはSubclusterのターミネイトができるようになります。
- Amazon Web Services(AWS)
- Google Cloud Platform(GCP)
- Microsoft Azure
クエリオプティマイザ
次の値を用いた補間
以前までは、Event Series Joinを行う際、INTERPOLATE PREVIOUSを用いて二つのSeriesの値を比較することができました。この機能が拡張され、INTERPOLATE NEXTも使用できるようになります。
セキュリティ・認証
TLS CONFIGURATIONのサポート
Notifiers
CREATE NOTIFIERとALTER NOTIFIERにTLS CONFIGURATIONを指定できるようになります。これは、NotifierパラメータのTLSMODE、CA BUNDLE、CERTIFICATEの置き換わりになります。
下位互換性を保つため、非推奨となったパラメータを使っているNotifierのためのTLS CONFIGURATIONを自動的に生成します。
CONNECT TO VERTICA
CONNECT TO VERTICAにTLS CONFIGURATIONを指定できるようになります。これは、既存のTLSMODE PREFERパラメータの置き換わりになります。
SQLファンクション・ステートメント
DROP TLS CONFIGURATIONの実装
ユーザによって作成されたTLS CONFIGURATIONが削除できるようになります。
逆双曲線関数の実装
次の関数をサポートします。
- ACOSH
- ASINH
- ATANH
Directed Queryの機能拡張
SAVE_PLANSファンクションを用いて、頻繁に実行されたクエリの中から頻度の多い順に複数のクエリについて、オプティマイザが生成したDirected Queryを作成できるようになります。DIRECTED_QUERIESシステムテーブルに新しいカラムが追加され、SAVE_PLANSが生成したメタデータを格納します。
Directed Queryに関係するステートメントのうち、ACTIVATE DIRECTED QUERY、DEACTIVATE DIRECTED QUERY、DROP DIRECTED QUERYがWHERE句をサポートするようになり、複数のDirected Queryに対して操作を行えるようになります。
DEACTIVATE DIRECTED QUERY WHERE save_plans_version = 21;
その他の変更点については製品ドキュメントのVertica 12.0.x New Features and Changesをご覧ください。是非、Verticaの最新バージョンをお試しください。
Premium Edition(製品版)のダウンロードサイト:https://support.microfocus.com/downloads/swgrp.html
Community EditionのダウンロードおよびVertica Acceleratorの試用サイト:https://www.vertica.com/try/